ペットとの日々の暮らしを支える「獣医師」という職業ですが、獣医師になるための条件とは。
結論から言うと、「獣医師になるには大学(大学院)で6年間学んだうえで、獣医師国家試験に合格する必要があります。」
大学に行くことが叶わない方は、獣医師になることが出来ないということです。
この記事では、獣医師のなり方から獣医師としてのキャリアまで網羅的に紹介しています。
記事を読めば、獣医師になるために必要ことが理解できるはずです。
「本当に自分に向いているか」ということを考えながら読んでみてください。
それではいきましょう!
獣医師とは
仕事内容
獣医師とは、動物の健康管理や疾患の治療を行う専門家です。ペット、農業動物、野生動物などの医療ニーズ合わせた治療を行います。
仕事内容は多岐にわたりますが、動物の病気やけがの診断、治療、予防がイメージしやすいでしょう。
例えば、犬や猫のワクチン接種や手術、畜産動物の健康管理、野生動物の保護などがあります。
その他にも、食品の衛生管理、薬品研究・開発など幅広い分野で活躍しています。
診察・診断・治療のステップ
動物は話すことができないため、飼い主から情報を伺う問診は非常に重要な工程です。
「いつ」「どこで」「どこが」「こころあたりは」などできる限りの情報を聞き出します。
「触診」「視診」「聴診」の基本的な検査を行います。
その後、更に詳しい検査が必要であれば、動物の負担、費用を考慮して必要な検査を洗い出します。
診察で洗い出した検査を行っていきます。
具体的には、「X線検査」「超音波検査」「血液検査」などです。
診断によって疾患があれば、いずれかの治療を行います。
・原因療法:原因を取り除く治療方法
・対症療法:病気の症状を和らげる治療方法
原因療法が理想的ですが、原因を取り除くことが困難であれば、対症療法や専門の病院への招待を行います。
バイオメディカル分野の研究
新しい医薬品を開発するためには、その効能や副作用を確認するためのプロセスが必要となります。そのひとつの方法として行われているのが「動物実験」。製薬会社の研究所では、医薬品の予防効果、治療効果、毒性などを調べる各種の有効性試験や安全性試験が、特別に飼養された動物たちを対象に、さまざまなプログラムに従って続けられています。
また、医学の分野では、医学の進歩のために必要な研究活動の中で重要な位置付けにある実験動物を動物愛護・福祉の観点から適正に飼養、管理することなどもバイオメディカル分野に働く獣医師にとって重要な活動テーマのひとつです。●動物用・人体用医薬品の開発
引用:社団法人 日本獣医師会
●動物用・人体用医薬品の安全性の確保
●医学における実験動物管理
獣医師になるための道のり
自分にあった学校を選ぶ
冒頭でも話しましたが、獣医師になるには獣医学課程のある大学に入学し、6年間学んだうえで、獣医師国家試験に合格する必要があります。
距離、学費や奨学金制度などの費用面も重要な要素ですが、獣医学部の特徴やカリキュラム、施設、教育方針などを比較し、自分に最適な学校を選ぶことも大切です。
現役の獣医学生が、マンツーマンでオンライン指導を行う「VELECT」というサービスがあります。
各大学を比較しているので是非下のリンクから見てみてください!
受験資格と試験対策
<受験資格>
引用:スタディサプリ 進路
現行の大学の獣医学の正規の課程(6年制)を修めて卒業した者(受験する年の3月31日までに卒業すると見込まれる者を含む) など
<試験の場所>
・北海道
・東京
・福岡
※第68回獣医師国家試験の細目 より
<試験内容>
筆答による多肢選択方式(マークシート)により行われます。
・必須問題試験
「獣医療の基本的事項」並びに「獣医学の基本的事項」、「衛生学に関する事項」及び「獣医学の臨床的事項」のうち重要な事項について、50問全問解答すること。
・学説試験(A)
「獣医療の基本的事項」及び「獣医学の基本的事項」について、80問全問解答すること。
・学説試験(B)
「衛生学に関する事項」及び「獣医学の臨床的事項」について、80問全問解答すること。
・実地試験(C)
原則として「衛生学に関する事項」及び「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に関する基本的かつ重要な事項について、60問全問解答すること。
・実地試験(D)
原則として「衛生学に関する事項」及び「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に対する対処方法等の総合的な事項について、1課題につき複数問、計60問全問解答すること。
※第68回獣医師国家試験受験上の注意 より
<受験者数>
新卒:1009名
既卒:282名
その他:8名
合計:1299名
<合格者数>
新卒:888名
既卒:135名
その他:1名
合計:1024名
<合格率>
新卒:88.0%
既卒:47.9%
その他:12.5%
合計:78.8%
※第67回獣医師国家試験の結果 より
第63回~第67回(平成23年度~27年度)の合格率は、約75%~83%と比較的高い合格率ではありますが、決して簡単な試験ではないので、しっかりと対策をすることが必要です。
生活と将来性
獣医師の生活
獣医師の勤務時間や待遇は、専門分野や勤務先によって異なります。
動物病院での勤務が一般的ですが、夜間や週末にも急患対応や手術が必要な場合があります。
また、公務員として働く場合もあり、その場合は比較的安定した勤務時間と待遇が期待できます。
患者の緊急性や仕事量によって大きく異なるのは、人間の医師と同じですね。
将来性
獣医師の需要が0になることは絶対にありません!
それには以下の理由が挙げられます。
- ペット関連の需要が高まっている
- 動物園、水族館、競馬場など活躍の場が増えている
- ペットフード、医療品メーカー、ペット保険会社なども民間企業でも需要がある
- 公務員獣医師は慢性的な人手不足である
2020年あたりからペットを飼う人が増加しています。
ペットの飼育率の上昇やペットオーナーのペットへの投資意欲の高まりにより、動物医療サービスの需要は増加の一途をたどっています。
ペットの種類も多様化していることから、珍しいペットの診療ができる病院、夜間対応できる救急病院など、近年では動物病院のバリエーションも増えています。
将来的には、より専門化された分野や新しい治療法の開発など、さまざまなキャリアパスを選択できる可能性があります。
年収と給与
「スタディサプリ進路」では、平成29年度の獣医師の平均給与をグラフでまとめています。
順番に見ていきましょう。
獣医師免許の取得には6年の期間を要するので、18〜24歳までは在学していることになります。
25歳からの給与で見ていくと、「最低値が約400万円で、最高値は約800万円」ということになります。
経験年数や専門分野、勤務先の規模や地域によって異なりますが、開業医あれば最高年収は1000万円超えもあるそうです。
その他の職業と比べても、平均以上の給与ですが、業務内容が給与に見合ってないという声も。。。
「VELECT」に最新版が載っていますので、こちらも是非チェックしてみてください!
就職先
獣医師は、動物病院を初め、公務員としての道や動物保護施設での活動など、さまざまな就職先があります。
上の「仕事内容」でも少し説明していますが、具体的にどんな就職先があるのか見ていきましょう。
動物病院
ペットの診察や治療、健康・衛生管理の指導、伝染病の予防などを行います。
動物病院に従事する「勤務医」と、個人で経営する「開業医」に分かれます。
産業獣医師
牛・馬・豚・鳥などの産業動物の、病気の予防、ワクチンの開発、病気の検査・指導、病気の研究などを行います。
また、健康維持のためのエサの設計や繁殖の管理も産業獣医師の業務の一つです。
動物園・水族館
動物の診察・治療、病気の予防、健康状態の管理などを行います。
繁殖・飼育動物園では、絶滅を危惧される動物の種を保存する役割を担っています。
国家公務員(公衆衛生獣医師)
動物検疫所では、輸入された動物家畜の伝染性や疾病の侵入を防止することで、畜産業の振興、公衆衛生の向上をめざします。
また、動物医薬品検査所では、産業動物やペットの健康維持に必要不可欠な医薬品の研究開発を行っています。
JRA(日本中央競馬の獣医師)
競走馬の病気の診察・治療、競走馬に関する研究・開発を行います。
出馬前には、馬体検査を行い、最も良い状態での出馬をサポートします。
まとめ
繰り返すようですが、獣医師になるには獣医師学課程のある大学で6年学んだ後、獣医師国家試験に合格することが必須です。
獣医師国家試験の勉強方法や対策に関しては、時間管理、専門書や参考書の活用、過去問題の解き方の工夫、インプット・アウトプット、模擬試験など効率的な学習計画を立て、反復して行いましょう。
また、試験科目、問題の傾向、合格基準点、配点分野・重要分野などを把握しておくことも重要です。
以下の記事では、獣医師以外の動物関係の記事を紹介しています。
獣医師以外にも、動物に関わる仕事はたくさんあります。
最も自分にあった職業を選択することが、継続ややりがいに繋がりますので、是非チェックしてみてください。
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